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機能性頭痛

1. 片頭痛

頭の片側がズキズキと脈打つように痛むことが特徴です。頭痛が始まる前にギザギザの光が見えることがあり、これは閃輝斑点と呼ばれます。頭痛発作中は前かがみの姿勢や階段昇降といった日常動作で頭痛が増強するのも特徴的です。悪心があり、嘔吐してしまうこともあります。光や音に過敏となることがあります。

30-40歳代女性では5人に1人は片頭痛持ちというデータがあります。
原因は確定されていませんが、三叉神経とカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)などが関連していると考えられています。

片頭痛急性期の治療薬は従来から①アセトアミノフェン(カロナール®など)、②NSAIDs(ロキソニン®など)、③トリプタン(スマトリプタン®など)、④エルゴタミン(クリアミン®)、⑤制吐薬、⑥抗不安薬などがあり重症度や症状などに応じて使い分けさせて頂きます。中等度以上の頭痛と判断した場合やNSAIDsが無効であれば積極的にトリプタンの使用を考慮します。またトリプタンとNSAIDsの併用や制吐薬の併用も有効とされています。治療効果判定は一般的に服用2時間後の頭痛消失や明らかな頭痛軽減で判断されます。スマトリプタンは有効性が高い反面13(心疾患合併症数)/1855579(発作数)=0.007%の心血管イベント(心筋梗塞など)の報告があります。確率はかなり低いですが、結果は甚大であり、高齢者は慎重に適応を検討する必要があり、心疾患、脳血管疾患、末梢循環障害のある患者様には基本的に投与できません。また重度の片頭痛発作が72時間以上継続する状態を片頭痛発作重責として、スマトリプタン皮下注の他、鎮静薬などの点滴加療が考慮されますので、その場合は高次医療機関に入院の相談をさせて頂きます。授乳中や妊娠中の片頭痛発作に対しては重度であればアセトアミノフェン(カロナール®)が検討されます。トリプタンは安全性が確立されていないため重度の発作時にリスクとベネフィットを考慮され用いります。急性期の非薬物療法としてニューロモデュレーション(磁気刺激・電気刺激)や認知行動療法、鍼治療などもエビデンスが集積されてきており、今後臨床応用が期待されます。

片頭痛の予防治療は発作が月に2回以上もしくは生活に支障をきたす頭痛が月に3日以上ある患者で考慮されます。最近になってCGRP関連薬剤(上述)の発売が相次いでいます。私も何人かの患者様に投与されて頂きましたが、かなり効果を実感しています。以前からある有効な予防薬としてはβ遮断薬であるプロプラノロール、抗てんかん薬であるバルプロ酸・ドピラマート、抗うつ薬であるアミトリプチリン、降圧剤の一種であるCa拮抗薬ロメリジンなどがあります。それぞれ副作用がありますので患者様ごとに有利・不利があります。オーダーメイドに治療薬を相談していきましょう。予防薬の効果判定は2-3か月程度の期間をかけてします。有効性が確認された場合は6-12か月継続し、その後徐々に薬を減らし、可能であれば中止を検討します。

2. 緊張型頭痛

最も患者数の多い頭痛のタイプです。おおよそ全国民の20%が感じている頭痛という調査結果があります。姿勢異常の人やストレス・精神的疲労を抱えている人に起こりやすいです。後頭部中心の鈍痛で、片頭痛のように発作的と感じることは少ないです。片頭痛のように、音や光に過敏となったり、嘔吐したりしてしまうことも少ないです。主な原因は首や肩の筋肉の過緊張と言われていますが、正確なメカニズムは分かっていません。急性期の薬物治療としては鎮痛薬(NSAIDsなど)による対症療法が主となります。予防治療薬は慢性頭痛で適応となり、抗うつ薬(アミトリプチリン)があります。副作用に眠気や口喝(のどが渇く)などがあり、アドヒアランスに問題があります。ここで慢性緊張型頭痛とは3か月を超えて、平均して1か月に15日以上緊張型頭痛がみられるときに診断されます。非薬物療法としては運動プログラム、超音波・電気刺激、温冷パックなどの理学療法が広く行われていますが、エビデンスは不十分です。一方で認知行動療法、針灸などは有効性が過去の研究で示されています。今後更なる研究が必要な分野と言えます。

3. 三叉神経・自律神経性頭痛(群発頭痛)

くも膜下出血以外では最も痛い頭痛です。平均1年ごとに起こり、数日目の奥に強い痛み(えぐられるような)を生じます。多くは片側性で作用時間は15分から3時間程度。頭痛側の目の充血や鼻水や鼻閉などが特徴です。男性が女性より5倍なりやすく、人口全体の頻度は0.5%程度です。飲酒が誘因となることがありますので、禁酒を要します。原因は現状はっきりと分かっていません。治療法としては片頭痛発作時に使用されるスマトリプタン3mg皮下注、高濃度酸素(7L/分 15分間)が有効と示されています。予防方法には強いエビデンスはなく、降圧剤であるCa拮抗薬、ステロイド内服、後頭部ステロイド皮下注などの報告があります。

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