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顔面痙攣・三叉神経痛

顔面痙攣

顔面神経の不随意な興奮によって顔を動かす筋肉がぴくぴくと痙攣する病気である。一般邸には片側(両側0.6-5%)であることが多く、片側顔面けいれんと呼ばれています。中年以降の女性に多いです。有病率は10万人あたり男性7人、女性14人で、左側に多い傾向があります。典型的には目の周りから始まり、口角に波及していきます。ストレス、疲労、不安、寒冷暴露、自意識なで増強され、睡眠中も持続します。飲酒、安静、患部への接触などで軽減する傾向があります。進行性の病気で自然消失することはありません。原因は顔面神経を脳の血管である後下小脳動脈と前下小脳動脈、椎骨動脈が圧迫することで起こります。鑑別疾患は顔面ミオキニア、眼瞼痙攣、チックなどがあります。

治療には3段階あります。

  1. 薬物療法はテグレトール®、ガバペン®などの抗てんかん薬です。しかしながら有効性が高い治療法とは言えません。
  2. ボツリヌス療法は対症療法ながら第一選択となる治療法で、過去に手術を受けた患者も適応となります。ボトックス注射をすることで筋肉に麻痺を起こし、約4か月程度の期間、顔面痙攣を抑えることが出来ます。
  3. 微小血管減圧術は外科治療で、唯一の根本治療となります。顔面痙攣の原因となっている顔面神経圧迫血管を剥離し、圧迫を解除します。開頭術で、かつ脳幹近傍の治療となるので重篤な合併症も考慮しなければなりません。過去の文献では術後10年で84%が完全消失、9%が無効であったとの報告があります (Barker et al. JNS 1995))。

三叉神経痛

三叉神経という顔面や舌などの感覚を司る神経の異常興奮により生じる発作的に繰り返す激痛を特徴とする疾患です。会話、食事、ひげを剃ったり、歯を磨いたりすることを誘因として発作痛が出現します。原因はほとんどが三叉神経への血管圧迫により生じ、原因血管としては上小脳動脈やpetrosal veinという静脈が有名です。年間発症率は10万人あたり4-5人で、顔面痙攣より少なく、1.7倍女性に多いと報告があります。診断はMRI・MRAによる血管圧迫の同定とその特徴的な疼痛性状の確認によります。

治療法はまず薬物治療が挙げられます。
テグレトール®、リリカ®、ガバペン®などがその薬剤となります。テグレトールは当初70%程度の症例で有効ですが、5年後には22%まで有効な症例が減少したという報告があります。また副作用も高頻度で肝障害や皮疹などが出現し、中止せざるを得ないことも少なからず経験します。根治術は顔面痙攣と同様で微小血管減圧術です。顔面痙攣とほぼ同様の手技にて圧迫血管を動かし、三叉神経をフリーにします。寛解率は97%と高いものの再発率が6.5%であったとの報告があります。

また定位的放射線治療といってサイバーナイフ・γナイフといった治療法も報告されています。こちらは疼痛の改善まで約1か月程度を要し、1年後の有効率75%、3年後60%、5年後58%と低下します。重篤な合併症が外科手術と比較すると少ない為、症例によっては妥当な治療法と考えます。

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