てんかん
脳細胞が異常発火・興奮することで、様々な神経学的異常症状を生じる病態です。
てんかんの有病率は0.5-1%程度と高率ですが、生後1年未満の発症が圧倒的に多く、20歳以降に発症するてんかんのほとんどは器質的疾患が存在することが多いです。
器質的疾患というのは脳腫瘍や急性期脳出血の他、脳挫傷(外傷による脳の傷み)や陳旧性(古い)脳出血・陳旧性脳梗塞のことで、この場合は症候性てんかんと呼ばれます。
また高齢者では器質的疾患がなくても脳細胞の老化でてんかんを起こす高齢者てんかんと呼ばれる疾患もあります。
症状
てんかんの症状は痙攣(手足のふるえ)が有名でありますが、他に失語や意識障害、場合によって上腹部不快感や幻覚、既視感、嗅覚以上などもあり多様です。
治療法
治療法としてはまず腫瘍や出血などの摘出可能、器質的異常があれば外科治療を考慮します。一方、器質的異常がない場合や陳旧性(古い)傷であれば抗てんかん薬の投与をします。
また初めての発症で再発リスク※が低いと判断された場合は抗てんかん薬の内服を開始せず、一旦は経過観察とすることが多いです。
※高齢者・てんかん家族歴・陳旧性脳出血や梗塞など
抗てんかん薬は当院ではイーケプラ®、ビムパット®、フィコンパ®といった新規抗痙攣を投与しますが、ふらつき・眠気などの副作用が生じるので、モニタリングが必要です。
これら新規抗てんかん薬は古典的なものと比較すると肝機能障害や皮疹、胎児奇形といったリスクが軽減されていますが、全くなくなったわけではないので注意が必要です。
抗てんかん薬は今までの報告では最初の薬剤で約50%が、2剤目で約13%が、3剤目の単剤もしくは併用で4%が発作消失となります。
一方で3剤以上の抗てんかん薬治療を実施するも発作抑制が不十分な難治性てんかんと診断される方はてんかん患者の約30%弱に上り、場合によっては外科治療を考慮します。
自動車の運転について
自動車の運転については最終発作から2年間は原則禁止となります。